相続税申告のポイント⑤~土地の面積

 土地の評価計算をする際の面積(地積)は、どの面積を用いるのが正しいのでしょうか。 

 財産評価基本通達(8)では「課税時期における実際の面積」と言っていますが、これは登記上の地積と測量による地積が異なる場合には、測量の地積の方を使いなさいという意味です。 

ただし、測量をしていない土地について、相続税の申告のために全て測量をしなさいという意味ではありません。未測量の土地については、通常、登記地積で申告することになります。 

注意していただきたいのは、測量がされているのにその測量地積を確認しないまま、登記地積で申告してしまうという誤りをしないことです。 

なお、この場合の測量とは、隣地所有者立会いの上境界確定して行う測量(そうして作成された測量図を「確定測量図」と言います。)に限らず、境界確定せずに行う現況測量も含まれると考えられますので、注意が必要です。 

境界確定せずに測量して作成された測量図は、一般的に「現況測量図」「実測図」「求積図」などといった名称が使われているようです。(また、分筆や地積更正などの土地の表示に関する登記を申請する際に添付する測量図を「地積測量図」といいます。) 

「地積測量図」以外の測量図は法務局等では確認できませんので、かならず相続人に測量図の有無を確認し、測量図があった場合にはその地積を確認するようにしてください。


 コラム『地積の端数処理は?』 

 

土地の登記上の地積は、一定の端数処理がされています。具体的には、宅地及び鉱泉地については0.01㎡未満の端数切り捨て、宅地及び鉱泉地以外の土地で10㎡を超えるものについては、1㎡未満の端数を切り捨てるとされています(不動産登記規則第100条)。田畑や山林の登記事項証明書の地積欄を見ると(多くは)1㎡未満の端数が書かれておらず、〇〇㎡となっているのはこのためです。 

では、相続税の土地評価計算において、宅地・鉱泉地以外の土地はこの例にならって、1㎡未満の端数は切り捨てて計算していいのでしょうか。 

答えはNoです。不動産登記法や同規則はあくまで不動産登記のルールについて定めたものであり、相続税法や財産評価基本通達において不動産登記法(及び同規則)を準用する規定や定めはないからです。(財産評価基本通達(8)の記載内容から見ても明らかと考えられます。) 

ですので、田畑や山林、雑種地等の評価において、測量がされていないため実際の地積が不明の場合には、登記地積によらざるを得ず、結果的には1㎡未満の端数は登場しませんが、測量図があって実際の地積がわかる場合には1㎡未満の端数処理は行わないで計算する必要があると考えます。

  (筆者は、土地評価にあたっては、必ず全筆の「地積測量図」の有無を確認し、地積測量図によって地積が確認できたものについては(登記地積によらず)測量地積によって計算しています。1㎡未満の端数のことですので小さな話かもしれませんが、それが財産評価基本通達の考えに沿った、正しい評価方法と考えます。 

それでは(土地の評価上、地積の端数処理はしないのであるなら)0.01㎡未満の端数についても全て計算しなければいけないのではないか、という意見もおありになるかと思います。根拠をはっきり言えず申し訳ありませんが、筆者は通常0.01㎡未満の端数を切り捨てて評価計算しています。なお、財産評価基本通達等を見ても地積の端数処理について言及しているものは見当たりませんでした。) 

 

※文中、意見に関する部分はあくまで筆者の私見です。 

※評価に用いる図面(測量図等)、及び縄伸びについては後日詳しく解説予定です。

 

次回に続く