やさしい財産評価入門㉕~家屋の評価 

 今回は、家屋の評価方法について説明します。

 

貸家以外の家屋は固定資産税評価額により評価します。相続税の評価額と固定資産税評価額が同額ということです。 

貸家については、固定資産税評価額から借家権(30%)を控除して計算しますが、計算式は次のとおりです。 

貸家の評価額 固定資産税評価額 ×(1-0.3 × 賃貸割合) 

※賃貸割合は、その敷地(貸家建付地)の賃貸割合と同じです。(貸宅地の評価の回(5月18日)参照) 

賃貸割合が100%の貸家なら、固定資産税評価額の7割額が相続税の評価額になるということです。 

では、増改築等をした家屋について、その増改築部分が固定資産税評価額に反映されていない場合はどうしたらいいのでしょうか。その場合には市区町村に申し出て固定資産税の評価をしてもらうか、それが困難な場合には、つぎの算式で計算した金額を相続税の評価額とします。 

 {再建築価額-(再建築価額×0.9×経過年数÷その家屋の耐用年数)}×0.7 

㊟1 再建築価額とは、課税時期においてその家屋を新たに建築するために要する費用の額をいいます。 

㊟2 経過年数は、1年未満の端数は切り上げ、年数で計算します。(月数によるあん分はしません) 

固定資産税評価額の付いていない家屋の増改築部分は、相続税の申告の際、申告もれとなることが多いので注意したいものです。 

 

令和6年1月1日以降の相続、遺贈又は贈与により取得した居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)の評価については、「区分所有補正率」を乗じて評価する旨の改正がされていますので、ご注意ください。

(当ブログの『相続税申告のポイント㊱~居住用の区分所有マンションの評価の改正①』参照)

 

次回に続く