やさしい財産評価入門⑳~マンション敷地の評価

 今回は、マンション敷地(敷地権)の評価方法について説明します。 

マンション敷地の土地評価にあたっては、まず、マンション敷地の土地(敷地権)の登記の形態が2つあることを理解する必要があります。 

ひとつは、建物の専有部分(マンションの一室)の登記に、その敷地に関する権利(敷地利用権)一緒に登記されていて、専有部分と敷地の権利(敷地利用権)は分離して処分することができない扱いとなっているパターンです。登記の「表題部」に専有部分の建物の表示とともに敷地権の表示があり、そこに敷地権の所有割合(共有持分)が明記されています。 

もうひとつは、通常の土地と同じように土地の登記がされ、権利部(甲区)に所有者の住所・氏名とともに共有持分が書いてあるパターンです。 

今は先の敷地権登記の方式が主流ですので、そちらの例で説明します。 

マンション敷地の評価にあたっては、敷地権の目的である土地がどれであるのかと、敷地権の持分がどれだけであるかを把握することが必須です。それが一番わかりやすく書かれているのが「登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本のこと)」です。マンションの登記事項証明書には、専有部分の建物の内容と敷地権の内容がすべて記載されています。 

登記事項証明書は公図と同じように法務局等で請求して取ることができます。注意したいのは、請求の際に「家屋番号」を明記し、(土地ではなく)建物の登記事項証明書を請求することです。家屋番号がわからないと、たくさんあるマンションの部屋のどの部屋のものを請求すればいいかわかりません。家屋番号は「固定資産税課税明細書」等で確認します。 

登記事項証明書が用意できたら、表題部に表示されている「敷地権の目的である土地」を確認します。 

その土地の地番がひとつだけなら、その土地を今までこのブログで説明してきた方法により評価します。地番が複数ある時は、公図や地積測量図等によりそれらの土地が一団(ひとかたまり)の土地であるか確認し、一団の土地であればそれをひとつの単位として評価し、公道等で物理的に分断されていればそれぞれ区分して評価します。 

ここで、一団の土地の中に複数棟のマンションが建っていても、通常、一棟の敷地ごと分けて評価するという考え方はありませんので注意してください。

一団の土地ごとに評価ができたら、その評価額を合計し、最後に敷地権の共有持分の割合を乗じたものがそのマンションの敷地権の評価額になります。敷地権の共有持分は、登記事項証明書の表題部(敷地権の表示)の「敷地権の割合」の欄に記載されています。

令和6年1月1日以降の相続、遺贈又は贈与により取得した居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)の評価については、「区分所有補正率」を乗じて評価する旨の改正がされていますので、ご注意ください。

(当ブログの『相続税申告のポイント㊱~居住用の区分所有マンションの評価の改正①』参照)