やさしい財産評価入門⑬~不整形地の評価

 今回は、路線価の計算のうち、不整形地の評価について説明します。※ 不整形地の評価にはいくつかの手法がありますが、本ブログは入門編ですので基本的な評価方法についてのみ説明します。

 

不整形地の評価にはいくつかのステップが必要です。 

想定整形地図面を作成し、想定整形地の地積を求める 

② かげ地割合を求める 

③ 奥行距離を求める 

④ 地積区分表により、A~Cの地積区分を求める 

⑤ 不整形地補正率表により、不整形地補正率を求める 

このステップの順に、図の例により説明していきます。 

まずは想定整形地図面の作成ですが、想定整形地とは『不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形(長方形)又は正方形の土地』と定義されています。

具体的には、① 正面路線から、評価する土地の外周に接するようにふたつの垂線を引き、② その垂線を2辺とし、かつ評価する土地をすべて囲むような長方形(または正方形)を作成したものが想定整形地になります。

想定整形地ができたら、2辺の距離を求め、想定整形地の地積を求めます。

35m×20m=700(想定整形地の地積) 

つぎは「かげ地割合」の算定です。かげ地割合の計算式は、(想定整形地の地積-不整形地の地積)÷想定整形地の地積です。 

700㎡-420㎡)÷ 700㎡ = 0.4040% 

 つぎに奥行距離を求めます。 

(想定整形地の奥行)20m<21(平均奥行=地積420㎡÷間口距離20m) 

どちらか小さい方が奥行距離ですから、20mが奥行距離になります。 

 地積区分表(下の図)を見ます。普通住宅地区で地積420㎡ですから、地積区分は500㎡未満でAになります。(地積区分表の判定上の地積は、想定整形地の地積ではありませんので注意してください。) 

 不整形補正率表(下の図)を見ます。普通住宅地区、地積区分A、かげ地割合40%ですから、不整形地補正率は0.85になります。

 

では、この不整形地の評価額を計算してみましょう。 

100,000(路線価)×1.00()×0.85(不整形地補正率)×420㎡=35,700,000(評価額

※普通住宅地区で奥行20mの奥行価格補正率

  以上が不整形地の評価方法の説明ですが、正面路線に垂直に面する長方形(または正方形)の土地以外はすべて不整形地であるといえます。 

よって正確な土地の評価額を算出したい場合には、明らかな整形地である場合を除き、想定整形地図面を作成して不整形地補正率を算出してみることが必要であるといえます。 

一見整形地に見えるような土地でも、実際に想定整形地図面を作成してみると、思った以上に不整形地補正率を適用できる場合があります。

 

※筆者の作成した「Excel土地評価明細書」には、入力した想定整形地の間口・奥行距離により、かげ地割合及び不整形地補正率を自動計算する機能があります。(不整形地の地積区分も自動表示します。)

 

次回に続く) 

この記事のカット等は国税庁のホームページから引用しました。(国税庁ホームページの画面を加工、トリミングしています。)