やさしい財産評価入門⑨~路線価の計算(複数路線の場合)② 

 前回は、複数の路線に接している宅地の路線価の計算について、正面路線(価)の決定方法について説明しました。今回は、その続きの路線価の計算方法について説明します。

 

 正面路線(価)が決まったら、正面路線から見て側方に位置する路線を側方路線と、裏側に位置する路線を裏面路線とします。

 つぎに、① 正面路線価に、正面路線からの奥行距離に応ずる奥行価格補正率を乗じた価額に、② 側方(または裏面)路線価に、側方(または裏面)路線からの奥行距離に応ずる奥行価格補正率を乗じた額に、側方(または二方)路線影響加算率を乗じた価額を加算(合計)した価額が、その土地の路線価になります。(②の価額は、側方路線(最大2本)と裏面路線(最大1本)の数だけ同じ計算をして、そのすべてを合計します。)

 ここで注意したいのが、側方(または裏面)路線価に乗ずる奥行価格補正率も、側方(二方)路線影響加算率も、側方(または裏面)路線の地区区分が何であるかにかかわらず、すべて正面路線価の地区区分の補正率を適用して計算する、ということです。

 前回、正面路線価を決定する際の各路線価に乗ずる奥行価格補正率は、それぞれの路線の地区区分の補正を適用して計算し判定するといいましたが、いったん正面路線価が決まったら、その後の計算においては、すべて正面路線価の地区区分の補正率を適用することになります。この点、混同することのないよう注意したいものです。 

 

  それでは、下の図を例に、具体的な側方(二方)路線加算の計算を見ていきましょう。

 まずは正面路線の判定を行います 

A路線 奥行距離 40 40(2,000㎡÷50)40m 

   (路線価)(普通商業・併用住宅地区で奥行40mの奥行価格補正率) 

  900,000円 × 0.94 =846,000円 

B路線 奥行距離 50  50(2,000㎡÷40)50m 

   (路線価)(普通商業・併用住宅地区で奥行50mの奥行価格補正率) 

  850,000円 × 0.90 =765,000円 

C路線 奥行距離 50  50(2,000㎡÷40)50m 

   (路線価)(普通商業・併用住宅地区で奥行50mの奥行価格補正率)

 800,000円 × 0.90 =720,000

D路線 奥行距離 40 40(2,000㎡÷50)40

                                     (路線価)(普通住宅地区で奥行40mの奥行価格補正率)

                       750,000円 × 0.92 =690,000

奥行価格補正後でいちばん高いA路線が正面路線価になります。

  

A路線 900,000(正面路線価)×0.94(※1)846,000円 …①

※1 普通商業・併用住宅地区で奥行40mの奥行価格補正率 

B路線 850,000(側方路線価)×0.90(※2)×0.08(※3)61,200円 …② 

※2 普通商業・併用住宅地区で奥行50mの奥行価格補正率 

※3 普通商業・併用住宅地区の側方路線影響加算率 

C路線 800,000(側方路線価)×0.90(※4)×0.08(※5)57,600円 …③ 

※4 普通商業・併用住宅地区で奥行50mの奥行価格補正率 

※5 普通商業・併用住宅地区の側方路線影響加算率 

D路線 750,000(裏面路線価)×0.94(※6)×0.05(※7)35,250円 …④ 

※6 普通商業・併用住宅地区で奥行40mの奥行価格補正率 

※7 普通商業・併用住宅地区二方路線影響加算率 

①+②+③+④⇒1,000,050円×面積2,000㎡=2,000,100,000(評価額)

※ ここでは、後日説明します規模格差補正は考慮しません。 

 

筆者の作成した「Excel土地評価明細書」には、入力した正面路線価の地区区分により各補正率を自動表示・計算する機能があります。

次回に続く

この記事のカット等は国税庁のホームページから引用しました。(国税庁ホームページの画面を加工、トリミングしています。)